1,000万円と言う金額、高額なのか?安いものなのか?
人によってだいぶ印象は違う。
およそこの金額で新築を建てる会社が存在することで、これが1つの基準になっている事は間違い無い。そしてそもそも1,000万円でリフォームしようと検討する住宅に断熱材は入っていないと思っていた方が良いし、構造的に今の基準からは大きく下回っている。そこへきて屋根、外壁、水回りをやるだけでもかなりな金額が掛かる。
700万、800万だろうか?そうなればリフォームしようとは殆どの人は思わない。よっぽど新築時に贅を尽くして建てた様な建築物ならまだしも、殆どの中古住宅はもはや解体した方が良いと言う話になる訳だ。
何だかもったいない気もするが、事を車に置き換えて考えてみれば、日本人は新車を好み、中古車を整備して大事に乗り続けているのは全くの少数派。住宅も同じことである。そもそもの住宅に対する国の政策、思考がそんな現状を造り出したのだろうと私は考える。私が小さい頃に住んでいた家にはシャンデリアは吊り下がっていたが断熱サッシは入ってはいなかった。その年代の建物、例えば天井に間接照明が設計されていたり、応接室が設計されていたりはするが、住宅の基本性の部分には全くと言って良いほどお金は掛けられていない。今更色々言っても仕方のないことではあるが、解体からリフォームまで、中古住宅を流通させようと補助金を設定した安曇野市で殆どの予算が「解体」に使われた現実からもそれが良く分かる。
ここで、まあそんな現状は現状として、ではどういった基準で補修をするのか?壊すのか?判断するか、その基準について考えてみよう。
1つ目は基礎に鉄筋が入っているか?酷いクラックが入ってないか?である。基礎を強化するには多額の費用が掛かる。これを実施してまでその建物をどうにか存続させようとすることは普通ない。

次に2つ目は壁に断熱材が入っているか?といきたいところだが、これも多額の費用が掛かるので、断熱強化してまでその建物を存続させようとすることはならなくなってしまう。これで殆どの住宅が解体したほうが良いとなるので、通常は1つ目の基礎さえ何とかなっていればリフォームしてとなる訳だ。

簡単な話し、買取再販専門業者がどうやって中古住宅をリフォームして売っているか?これを見れば分かる。何もかも綺麗にリフォームしてもサッシや断熱性能まで手は掛けない。ハッキリとしている。これが売れない、誰も買わない世の中であれば今、こんな日本の住宅事情にはなっていないだろうが、まあこれが現実。光熱費が掛かる、燃料を大量消費する家を新しくリニューアルして販売していると言う何とも滑稽な現状。何とも難しいことではあるが、私が言えるのは長く住み続けられるものにお金を使って欲しい、これに尽きる。例えばリフォームを諦めて新築する場合でも、安普請の家は建ててはいけない。
軒の無い家、ダメ。雨ざらしのバルコニーも作らない。太陽光は載せない。
メンテナンスコストの掛からない性能の高い住宅を1棟1棟建てていく、これが一番大事。
家の基本は雨露をしのぐこと、だから雨ざらしの部分を作る事は大いに危険である。建てた後にもしっかりと家にお金を掛けられる、手入れ出来る人はその限りではないが、新築後10年で家に100万円メンテナンスに払えるのか?と言う事だ。
太陽光、これは何故ダメか、お分かりだろうか?屋根のお手入れの際、下ろしてまた載せるコストが余分に発生するからだ。どうしても載せるのであれば、そう簡単にメンテナンス周期が来ない屋根材を新築時に採用して欲しい。
「未来の想像」が出来るか?これは簡単な様でいれ難しいものだ。損得勘定抜きに、この家は2000万円掛けても修理して住み続けよう!そんな家にそもそも住みたい。