新築住宅に瑕疵(かし)保険が付保されるようになったのがおよそ2008年の7月頃から。つまり2018年7月頃にはその保険が満期になった10年経過したおうちが毎年出ている。
違う角度で言えばおよそ築12年位の建物までは新築時に瑕疵保険の検査を受け、10年の保証がついていた住宅となっている。よって10年まで経過していない住宅はその責任を保険が担保してくれている訳で、それが新しい所有者へ引き継がれれば先ずは「売主も買主も安心だよね」と言う事になる。
勿論そうは言っても築浅住宅でその使用者によってはそれなりに劣化しれいる場合もある。インスペクションは受けなくても良いとは一概に言えないが、およそどこの住宅会社でも10年程度までは点検プログラムなどが存在し、住宅会社の担当者がどこまで細かい検査をしているかの差があっても一定の検査は受けている筈である。
※株式会社 日本住宅保証検査機構より引用:「保険の対象となる部分」
勿論、そういった検査が殆ど無い住宅会社で建築したものであれば売却検討を機に一度インスペクションを受けてみるのも良い。 こんな事を言うのも住宅産業に長く身を置いていた私としては心苦しいが、恐らく定期点検が整備されていない住宅会社で建てた建物は小屋裏や床下に何かあるだろう。大きな問題が無くてもきっとゴミの1つや2つは落ちている筈。小屋裏や床下をたくさん点検している「感覚的統計」ではあるが…。
そして10年を超えている建物、これに関しては例えば屋根や外壁に塗装が必要な仕様であれば、そろそろ修補の時期となるので、その劣化の具合は大いに点検すべきであるし、白蟻の防蟻プログラムや保証延長などを受けている建物であってもそれらの更新スパンは基本的に5年である事から10年の節目には点検が望ましい。築10年位まではある程度の目で大抵の建物は点検を受けているが、実はそこからがあちこち「経年劣化」もはじまると言う訳だ。
そして、ここで言うその10年超えのタイミング、実は大抵の住宅で「メンテナンスを行いにくい」時期である。
つまり、劣化が進行している状態を知っていても放置せざるを得ない。
何故か?
大抵の方は小さいお子さんを連れて新築住宅の検討をし、およそ子供さんが幼稚園の時に家を構える。そしてそこから10年~15年の時を経る。
さて、そのお子さんは何歳になっているだろうか?
そう、そのお子さんは恐らく15歳~20歳。
家計は大抵「火の車」の時期。必死にお子さんの為にお金を捻出し、やっとその時期を経過した時、ふと建物を見ると…。劣化がすっかり進み、通常のメンテナンスでは済まない状況にすらなっているケースも多い。
まとめると「メンテナンスを必要としている」インスペクションでその内容を明らかにしたい物件は「10年を超えたら…」であり、築15年から20年であってもメンテナンスをせずにその時までを過ごしている物件も多いので、おうちの現状を把握する意味でも「インスペクションはとても大事だよね」と言う話しになる訳だ。