そもそも瑕疵保険とは?

姉歯事件を覚えてますか?
あの時、耐震偽装されたマンションの住民がその後、大いに困る事態になったのは想像出来ますよね。
あの事件の後、このままでは住宅行政は不味いぞ!と言う流れになり、出来たのが瑕疵保険です。
家が傾いた!とか、雨漏りがした!とか、基礎が下がったぞ!とか、重大な不具合に対して救済する事を目的として保険です。出来た当初、「あのさ、家って10年じゃなくて俺たち一生ものを造ってんのに、何?その10年しか保証しないって?どう言う事よ!」と保険法人の方に文句を言った記憶が今でもありますが、その答えは「いや、建築会社の手落ちミスなどによる不具合は統計的に5年以内には発生します。そしてその倍の年数を見込んで10年と言う設定をしたのです。」でした。
これが新築住宅の瑕疵保険です。
そしてその続きとしてリフォームされた住宅用の瑕疵保険も誕生、これがリフォーム瑕疵保険です。
瑕疵保険に加入する人ってどんな人?

新築住宅に対してはこれが「義務化」されました。
全ての新築住宅は加入しないといけません。
いや、基本的にはです。
仮に私の様な設計士が自分の住宅を自分でやる場合はこれ、不要です。と言うより入れません。これに対してリフォーム瑕疵保険は全くの任意です。殆どの方が入りません。だって「新築」でなく「中古」を経済的な理由で選択し、なるべくリフォームも安くと言う方が多い中で、その瑕疵保険に入る方は少ないですね。
実は入る方はそれによって入る費用を上回る金銭的なメリットがある方です。それによって住宅ローン減税などを受けたい、そういったケースです。
どこで加入すればいいの?手続きの流れは?

新築の場合は黙っていても加入します。
自分であれこれ動く必要は無く、住宅会社が全てアテンドしてくれます。
他方でリフォーム瑕疵保険は全くの任意です。これを入りたいとなりますと、リフォーム会社さんなどでも面倒臭く思う業者が多いと思います。設計事務所へ問合せされる方も多いですが、瑕疵保険を扱っている業者さんであっても、既存住宅瑕疵保険の場合は別途年額費用を負担してその扱いをする意思表示をしていないと扱えず、実はなかなか業者さん取組んでいないのが現状です。
手続きとしてはそんな中から取扱い業者さんを探し、検査を受け、そして指摘のあった部分を修繕して保険に加入します。いざ検査を受けたらあれもこれもリフォームしないと保険が付けられない…となるケースがあるので、ある程度先にそれを判断する必要があります。
そういった点でも消費者の方には難しい判断となります。
どんな場合に適用されるの?されないの?

上記項目でも触れましたが、結局「瑕疵保険」の付与の為には家をそれに見合ったメンテナンス済住宅に仕上げないとならないのです。
これは物件購入者さんがこの程度手を入れれば住めると認識し、リフォームの予算も目論んでいたとして、専門家が検査をしてもっとたくさんの部分、範囲にリフォームをしないさいと言う判断がなされた場合、困った事態になってしまいます。
実際、それらを実施しなければ保険は適用されませんし、加入も出来ませんのでここが一番の注意する部分です。消費者の方からすればこれを提案した業者さんに対してクレームをつけたくもなるでしょう。
そんな事もあって既存住宅瑕疵保険はあまり広まっていないのが現状です。
民法改正前と改正後の違いとは?

「買主側に配慮された改正」簡単に言えばそのような感じである。
今までは事が起こった時に契約解除や損害賠償と言う選択肢だけだったものが、「追完請求」と「代金減額請求」と言う現実的な選択肢が広がった。
何か問題が発見された時を思い浮かべた時に、物件を購入した方は既にそこに住んでいる訳で、また引越しして売主へ返すとか損害賠償だと言う騒ぎになるよりも現実的には「売主さん、ここは売主さんのお金でちゃんと直して下さい」とか、「売主さん、ここはもううちで直しますけど、リフォーム費用が膨らんだ分は売買価格から差し引いて貰いたいので、払った分からいくら返して下さいね」とか、そんな現実的な権利がはっきりとされたのだ。
画期的と言えば画期的。
そしてその問題は契約書類上で売主さんから物件に関して告知をするのだが、それが曖昧だったり、インスペクションが無ければより曖昧なまま買主さんへ物件が渡る可能性は高まり、当然後で問題になるリスクが増大する。これを防ぐのにプロの住宅診断(インスペクション)は有効な訳だ。そして何かの備えとして売主さんが瑕疵保険に加入する事もセットで考えるとこれも万が一の時にそれ以上の金銭的負担が無い安心がある。
つまり物件売却の時に加入する保険、それは売却経費だと考えればそこに手残り額が減っても安心が残る。せめて、住宅診断だけは受け、「とにかくなるべく高く売って」の様な姿勢での売却だけは避けた方が良い時代になった。